ひろばの子育て支援第5回(北海道札幌市)「子どもといっしょに おとなもいっしょに-かざぐるまの21年」

更新日: 2007年11月1日

【はじめに】

 2007年度、「子育て応援かざぐるま」は任意団体設立より21周年を迎えた。昨年度は設立20周年ということで、記念イベントの開催や記念誌の発行を通して20年間の活動の成果を整理した。活動が20年以上継続している子育て支援団体は全国でもあまり例を見ないようであるが、札幌市および近郊地域の子育ての現場で小さな実績を一つひとつ積み重ねてきた成果が今の活動につながっていると思うととても感慨深い。設立当時のメンバーは、設立後転勤等で退会したが、その後15年程前に入会したメンバー数名が中心となり、数回にわたる脱皮を経て、現在のかざぐるまが形づくられていった。その活動および活動趣旨の変遷を法人の設立趣意書(2005年3月法人設立)を通して振り返ってみたいと思う。



【法人設立趣意書】

1986年、私たちは女性の社会進出を支えるという目的で、非営利団体「託児ワーカーズ かざぐるま」を設立し、おとなも子どもも心豊かな時間を過ごせるように、個性に合わせた安全で楽しい託児を心がけてきました。

1990年代後半より、「託児ワーカーズ かざぐるま」は、日々の活動の中で、子育てに不安や閉塞感を抱える親や時には息ぬきを必要とする親などに出会い、現代社会の子育ち・子育て環境の変化を痛感し、子育て中の全ての親子へのサポートの必要性を実感してきました。また、現状を踏まえながら子どもの育ちを守るために、子育て家庭支援について学び直しをしました。

2002年、団体名を「託児ワーカーズ かざぐるま」から「子育て支援ワーカーズ かざぐるま」と改め、活動の目的を、全ての親子が子育ち・子育てしやすい社会づくりをめざし、子育ての知恵の伝承を担うと変更しました。その後は、子育て中の親子の心の拠りどころとなりながら、子育てに楽しさややりがい、その親子に必要と思われる情報や知恵を、実践を通して伝えるという“かざぐるま”としての子育て支援を確立し、その専門性を高めてきました。

今、私たちは、現代の子育ての困難な状況は家庭や親だけの問題ではなく、社会全体の問題であると考えます。各家庭に訪問して行う親子への直接的な支援や、地域の中で孤立しがちな親子が共に育ち合う仲間に出会うための支援を続けながら、社会全体で子どもの育ちや子育て家庭を温かく見守り育むための環境づくり、次世代を担う子どもたちがその育ちの中で次の親になることを学び、安心して命をつなげていけるような社会づくりをめざして、さらに活動の幅を広げていきたいと思います。

これからも私たちは、子育て中の親子と共に様々な機関や人々と連携し、ひとり一人がひとりの人間として主体的に社会に貢献する姿を通して、子どもたちにも生きる力を伝えていけると信じ、ここに、「特定非営利活動法人 子育て応援 かざぐるま」を設立いたします。


 かざぐるまのスタッフは全員、保育士、幼稚園教諭、助産師等の有資格者である。設立当初はグループ託児中心であったが、その後、他人にお金を払って子どもを預けるということが社会的認知を得るようになってから、個人宅からの依頼が増え始めた。10年程前から訪問先で子育てに負担感や不安感を抱える母親達と出会うようになった。子育てへの負担感等により子どもの世話等が行き届かない親に、「子どもの豊かな育ちを守るために、親としてもっとしっかりしてほしい」という思いであれこれ提案しても受け入れられることはなく、スタッフ自身が行き詰まって訪問先に出向けなくなるという事態に発展したこともあった。私達にとっては、出口のないトンネルに迷い込んだような時代であったが、あの時期に十分悩み、葛藤したことが現在の子育て支援活動の理念につながっていると思われる。

 トンネルから抜け出るきっかけは、全国規模の子育て支援の研修会へ参加する機会を得たことである。「みずべ」、「びーのびーの」、「手をつなご」、「ひまわりママ」等の活動や理念に触れたことで、今後は単なる託児ではなく、子育て家庭の支援という視点で活動していくことが必要と気づいた。しかし、設立当初から在籍していたスタッフの「子育て支援は親の甘やかしになるのでは?」という意見も根強く、話合いは平行線のまま、ネットワークを構成していた3団体と合同で助成金を利用して、ひろば実践者、臨床心理士、心療内科医師、保健師、養護教諭等、各専門機関から講師を迎え、10講座を皆で学び合う機会を作りつつ、繰り返し話し合う機会を持った。

 この時期に学んだことは、自分達がこれまでやってきたことの次の段階として、目の前の親子の背後に社会の変化があることを認識し、親子へ適切な直接的支援を行いながら、それと平行して子どもが豊かに育ち、子育てしやすい環境づくりを活動の両輪として進めていかなければならないということだった。そのことに一旦気がついてしまうと、まるで堰を切ったように学びたい、進みたいと思うようになり、先進地視察や書籍、研修会、多くの実践者との出会いを通して学び直しを行いながら、現場のニーズに合わせて団体のミッションの再構築を行った。
 さらに、自分達の個性を活かして、保育者として質の高い保育や支援を目指し、専門性を持って活動したいと感じ、任意団体設立から19年目に上記の設立趣意書を掲げ、ワーカーズコレクティブから独立してNPO法人を立ち上げて現在に至る。

【かざぐるまの主な事業】

※一部抜粋

■訪問事業■

■訪問保育事業 ◇“子どもの時間”と“あなたの子育て”を応援します!

利用目的: リフレッシュ・用事・仕事・病気(子ども・保護者)・2次保育(保育園や学童のお迎え)・付添い(健診・通院・入院等)・ちょっと手助けが必要な時に
対象地域: 札幌市内全域および近郊地域(江別市・北広島市等)
対象年齢: 0才~小学校6年生まで
保育場所: 依頼者の自宅またはお互いに条件が合えば保育者宅
利用料金: 保育料(時間単価×時間数)+交通費実費 ※全て受益者負担
その他:
  • 希望があれば事前にコーディネートに出向く(有料)。
  • 子どもの月齢に合わせた良質な絵本やおもちゃを持参。
  • 終了時に保育記録ノートを記載し、渡す。
  • 今年上半期1か月平均180件(共働き家庭と専業主婦の家庭の利用はほぼ同数)

 訪問保育は、スタッフが各家庭や指定された場所に出向いて行う保育や支援で、保護者も一緒にいながら子どもの保育を行うことも多々ある。多種多様な子育て家庭に対するサポート的な内容の依頼が増えているので、保育者および子育て支援者としてできること、行うべきこと、またその限界を見極めつつ、それぞれの家庭のニーズに合わせて最善を尽くせるよう、保護者と確認しながら対応している。

 スタッフは、単に持参したおもちゃや、一方的な働きかけによって子どもを楽しませる人ではなく、子どもをひとりの人間として尊重し、子どもの主体的な行動を共感的なまなざしで見守り、見通しを持ちながら適切に呼応する人として捉え、子どもの気持ちに寄り添った保育をめざしている。

 また、保護者が子どもの個性や成長、発達等に関して不安を感じているような場合には、表面に表れた言葉をただ聞くだけでなく、その言葉の奥にある気持ちを受け止め、「私達に何かできることがあれば、お手伝いさせていただきます」と具体的な言葉で寄添う姿勢を示すよう心がけている。

 各家庭で保育や支援にあたる時は各スタッフが個別で対応することとなるので、毎回の保育報告(PCのメーリングリスト)や月例会の事例検討等を通してスタッフ間で情報を共有しながら、お互いに保育や支援の質をさらに高め合うよう努力している。

●詳しくは http://kazaguruma.i-cis.com/houmonhoiku.html

■産前産後サポート事業◇赤ちゃんとお母さんのコミュニケーション形成と産後の家事をサポートします!

サポート内容:赤ちゃんの沐浴・上の子どもの世話・基本的な家事(買物・食事づくり・掃除・洗濯等)
対象地域:札幌市内全域および近郊地域(江別市・北広島市等)
サポートする場所:依頼者の自宅および実家等
利用料金:サポート料(時間単価×時間数)+交通費実費
※全て受益者負担・訪問保育と同額
その他:
  • 可能な限り、産前にコーディネートに出向く(有料)。
  • 終了時に保育記録ノートを記載し、渡す。
  • 基本的に産後1か月までのサポートを目途としてるが、母の心と体の回復に合わせ臨機応変に対応。

 産前産後サポートは、7~8年ほど前に、訪問保育の利用者の第2子出産時のニーズから生まれた事業である。札幌市は政令指定都市であるためか転勤族が多いこと、結婚年齢や出産年齢が高くなっていることで必然的に親も高齢化し、実家のサポートも得られない人が増えていること、また、夫も働き盛りで日常の協力も望めないこと等から、出産後、自宅で誰のサポートも受けることなく子育てを始める人が増えていると感じる。

 自らの体験を思い出しても、出産後にどんな生活が待っているのか、ほとんどイメージがつかめないまま親となり、産後の体の回復もままならない状態でいきなり始める24時間年中無休の子育て・・・子育てのスタート地点の大変な時期を、周りの人の適切なサポートを得て乗り切ることができれば、安心して親としての第一歩を踏み出し、その後の子育てを主体的に楽しめるようになると感じ、出産後の母の心と体の変化や母乳育児、新生児の発達について等、必要と思われることを学びながら対応している。

 ここ数年は特に、産後サポートを希望する家庭に妊娠後期に訪問してコーディネートを行うことを大切にし、出産後の生活や赤ちゃんを迎える環境づくりをこれから親となる人と一緒に考え、必要なサポート内容を具体的にイメージしてもらえるように配慮している。

 出産した時点で産院から連絡をもらい、退院日やサポート開始日を確認、実際に出産を経てその家庭が日々の生活の中で一番必要と感じていることを、その家庭のやり方や考え方を尊重しつつ、コミュニケーションを大切にして対応するようにしている。

※2007年度はさらに、独立行政法人福祉医療機構(WAM)の子育て基金の助成を受け、「こんにちは赤ちゃん!産前産後訪問&産後サポートネットワーク事業」として展開している。

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【主な事業内容】

  1. 産前産後サポートネットワーク実行委員会の設置(5月)
  2. 産前産後サポーター養成講座(全16講座)の開催(8月)
  3. プレママ対象講習会(9月)
  4. 産前産後訪問&産後サポートモデル事業(10~1月)
  5. 産後ガイドブックおよび産前産後サポートガイドブックの作成(2月)

●詳しくは http://kazaguruma.i-cis.com/wam.htm

■パパ・ママ・ちびっこ講座事業■

◇子どもといっしょに、おとなもいっしょに
対象:0・1・2・3才児とパパ・ママ20組(4才児やきょうだいも一緒に参加可)
日程: 6~3月 第3土曜日 10:00~12:00
6月 春のさんぽ(旭山記念公園)
7月 水遊びin西岡公園
8月 水遊びin登別一泊バス遠足
9月 ママが先生!手作り教室(エプロン)
10月 秋のさんぽ(旭山記念公園)
11月 ママが先生!親子クッキング
12月 わらべうたと絵本
1月 雪あそびpart1(旭山記念公園)
2月 雪あそびpart2(旭山記念公園)
3月 土田英順チェロコンサート
(室内活動会場:札幌大谷大学短期大学部子育て支援センター)
協力:NPO法人ねおす他
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 訪問保育等で出向く子育ての現場を通して、私達は子どもの日常の生活の中で外遊びや自然とふれ合う機会がここ数年で極端に減っていることを憂慮していた。特に、北海道は11月から3月まで半年近くが雪に閉ざされ、乳幼児親子には行き場のないつらい季節となるため、四季折々の外遊びや自然とのふれあいの時間を子ども達に返したい!という思いから、自分達のできることを探った。そこで、まずは乳幼児を育てている親自身がその大切さや楽しさを実感できる機会が必要と感じて、実際に触れてみる、耳を澄ませて聴く、匂いを嗅ぎわける、よ~く見る、みんなで味わう・・・おとなも子どもも自然の中で五感をいっぱい使って遊びましょう!というメッセージをこめて、2004年度よりパパとママとちびっこが同じ目線で自然や遊びを楽しむ子育て講座を開催した。

 親子の日常につなげることが目的なので、その時だけ一方的に楽しませてもらえるようなイベント的、指導的な講座とせず、スタッフは親子を見守りながら遊びを一緒に楽しむ人として、親子自らが主体的に遊ぶことを大事に活動している。

●詳しくは http://kazaguruma.i-cis.com/papamamatibikkokouza.html

■つどいの広場事業■

■札幌大谷大学短期大学部子育て支援センターつどいの広場「んぐまーま」の運営協力(受託事業)
◇友だちをみつけよう・みんなで大きくなろう

開催日毎週木曜日 10:00~15:00 (祝日と年末年始は休み)
会場札幌大谷大学短期大学部西棟5階子育て支援センター(札幌市東区北16条東9丁目)
参加料一家族100円 (保険料として)
スタッフNPO法人子育て応援かざぐるま専任スタッフ・教員・保育科学生
「んぐまーま」のこころ友だちをみつけよう・みんなで大きくなろう
主な特徴
  • 開催時間内であれば、来る時間も帰る時間も自由である。
  • 食事スペース、授乳室、お昼寝ができるスペースがある。
  • 基本的にノンプログラムであり、大人も子どもも自分がどう過ごすか主体的に考えることを大切にしている。また、利用マニュアルも用意せず、皆が居心地のいいひろばのあり方を利用者それぞれが考えることを大切にしている。
2006年実績
  • 平均利用組数 39.3組
  • 平均利用者数 88.4名
    大人40.7名(母親39.0名、父親0.8名、祖母0.3名、祖父0.1名、その他0.4名)
    子ども47.7名(0才9.2名、1才17.8名、2才15.9名、3才2.7名、4才以上2.1名)
会場面積:約110㎡

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 札幌大谷大学短期大学部では、開かれた大学として地域の声を教育と研究に生かしたいと願い、2005年9月より子育て支援センターを開設した。この事業の一環として、毎週木曜日につどいの広場「んぐまーま」を開催することとなり、代表を含む5名が卒業生ということもあって、かざぐるまがひろばの運営を受託した。(※「んぐまーま」は国のつどいの広場事業ではなく、大学独自の取組みである。)

第5回(北海道札幌市)「子どもといっしょに おとなもいっしょに-かざぐるまの21年」

 開設前年の12月、保育科の先生方とかざぐるまで準備委員会(開設後は運営委員会)を立ち上げ、構想段階、準備段階より一つひとつ協議しながら協働で進めた。まさしく「保育士養成校の専門性」と「子育てNPOの実践」の融合と思われる。

第5回(北海道札幌市)「子どもといっしょに おとなもいっしょに-かざぐるまの21年」

 「んぐまーま」は、子どもが一緒に育ち合う友だちを、親が子育て仲間を見つけるためのつどいの広場であると同時に、卒業後に保育や子育て支 援の現場に出る保育科学生のひろば実習(2年「家族援助論」)やボランティアの場でもある。学生は「家庭における日常生活としての子育て」にふれながら、現代の子育ての現状、子育て支援の趣旨、親子へのかかわり方を具体的に学ぶ場となっている。2年生の実習の指導は、心の里親保育園の元園長でかざぐるまのスーパーバイザーでもある非常勤講師の浜栄子先生が担当、「家族援助論」の理論は代表の山田が担当している。学生がひろばに入ることで、親は自分の子育てや子どもを通して、未来の保育者や子育て支援者の養成にとても協力的である。

第5回(北海道札幌市)「子どもといっしょに おとなもいっしょに-かざぐるまの21年」

 専任スタッフ2名には、誰でも気軽に参加できるように暖かく親しみやすい雰囲気づくりや、親と子、親子と親子、親子と学生をつなぐ役割と共に、学生への子育て支援者のモデルとしての役割も求められている。保育の専門性を持つ大学と私達が開設する「んぐまーま」が特に大切にしていることは、「子どもの気持ちをしっかりと受け止め、言葉でかかわっていく」ということである。それは具体的にどういうことなのかをモデルとして示したり、言葉で伝えたりしながら、周りのおとなの子どもへの理解を深めることは子どもが育ちやすい環境へとつながり、それは子育てのしやすさにもつながることを再認識している。

第5回(北海道札幌市)「子どもといっしょに おとなもいっしょに-かざぐるまの21年」

 「んぐまーま」は、地域の親子、学生、教員、スタッフ等が和やかに集い、気軽に情報交換しながら共に育ち合うための広場となっている。これからも「んぐまーま」を通して、利用者の一人ひとりが地域の中で仲間をみつけ、自分の持っている力を発揮しながら、子育ても楽しめるような支援のあり方をひろげていきたい。また、地域の子育て支援の質の向上、および地域のネットワークづくりに貢献していきながら、地域の子育て支援を循環させていく一助となりたいと考えている。

●詳しくは http://ngma-ma.boo.jp/

【最後に】

 今回は、かざぐるまの“思い”、“気づき”“願い”を中心に原稿をまとめてみた。振り返ってみると、この“思い”だけを頼りにこの15年を突っ走ってきた感があるが、最近全国の実践者や研究者の方々と交流する機会を通して、今まで自分達が何度も経験してきた迷いや葛藤こそとても大切な意味があったのではないか、その都度手探りで学びながら選んできた道も案外間違っていなかったのではないか、と思うようになった。

 ここ数年ミッションや活動の整理は丁寧に行ってきたし、それなりに活動も広がって社会的な認知も得られるようになってきたが、かざぐるまにはまだ幾つかの大きな難題が残っている。

 一つは設立21周年、未だに団体の事務所がないことである。この15年、代表の自宅を事務所代わりに、月例会や印刷作業は市や道の市民活動センターの無料貸出しスペースを借用してしのいでいるが、活動を安定、継続させ、次の世代につなげていくためには、ひろばと同じようにいつでも常勤スタッフがいて、他のスタッフがいつでも気軽に立ち寄れる事務所が必要と痛感している。

 そして、もう一つは、札幌市の行政と子育て支援団体の協働が全く進まないことである。札幌市は、NPO等市民の取組みをある程度認めてくれているようではあるが、市民の力はボランティアとしてのみ期待しているようで、「先進的な独自の取組み」と自負している公設公営型の3層構造の子育て支援事業を展開、札幌市と各支援団体は独立独歩の関係がずっと続いている。NPO中間支援組織の代表理事を務めた現在2期目の市長に期待しつつも、なかなか取り付く島がない。今後、協働に向けてどのように関係をつくっていくかが課題と思われ、他都市の協働事例を参考にしながら考えていきたい。

 これからも、かざぐるまは子育て中の親子と共に、子どもがひとりの人間として尊重され、安心して豊かな子ども時代を過ごせるような社会をめざし、様々な機関や人々と連携しながら、人と人、情報そして命をつなぐ事業を展開していきたいと思う。 最後に、今年度のパンフレットにあるメッセージを締めくくりの言葉としたい。

夫婦が楽しさも大変さも分かち合いながら
協力して子育てできたら
どんなに絆が深まるでしょう。
親子がたくさんの仲間と一緒に育ち合い、
支え合って子育てできたら
どんなに楽しいでしょう。
周りの人々や社会が
あたたかい目で親子を見守り育んでくれたら
どんなに心強いでしょう。

山縣 文治(大阪市立大学 生活科学部 人間福祉学科 教授)

20年ほど前、私は、「母親」が家庭で子育てをしている場合に、情報提供や相談などの活動ならまだしも、一時預かりや常設的な交流の場が必要だとは考えていませんでした。社会も同様の状況であったと思います。

「かざぐるま」の萌芽は20年前。現在も活動を継続している団体の中では、おそらく日本で最も早い時期に子育て支援の活動をはじめた市民団体だと思います。「かざぐるま」の特徴は、積極的に外部との交流を進め、柔軟に時代状況に対応してきた点にあると思います。一端活動を始めると、それぞれの活動者の思いがあり、なかなか軌道修正を図ることができないという団体があります。その結果、活動が萎縮していったり、活動者が離れていくということあります。リーダーあるいはリーダー層には、これをうまくマネジメントする力が求められます。

第5回(北海道札幌市)「子どもといっしょに おとなもいっしょに-かざぐるまの21年」

ところで、子育て支援の活動は、図に示すように、活動の関心が、親に向いているのか子どもに向いているのか、支援の方向が個別性を志向しているのか社会性を志向しているのかで、4つの象限で表すことができると考えています。楕円の中は、それぞれの象限の代表的な事業をイメージしています。情報提供などの基礎的な活動は、全象限にかかわるものと考えられます。

「かざぐるま」は、初期第3象限や第2象限を中心に活動していたようですが、徐々に第4象限の活動を意識していかれているように見受けられます。第4象限の活動は経験的には行政の意識がかなり高くなければ協働が難しい領域です。「市民活動をボランティアとしてのみ期待している」。ボランティア活動のイメージは、第1から第3象限にかけてのイメージであり、第4象限はそれから最も遠い領域です。相互の理解が図られ、行政と対等な協働関係が構築されることを期待しています。