文献抄録乳児における夜間の就寝時刻が最長睡眠時間の長さに及ぼす影響

更新日: 2010年12月1日

著者 島田三惠子・足立智美・神谷整子ほか(大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻、浜松医科大学医学部看護学科、みずき助産院ほか)
掲載誌 小児保健研究 69(5):P.685~689, 2010

 日本の子どもたちの就寝時間が遅いことや睡眠時間が短いことが問題となっている。そのことに警告を発する理由としては、肥満のリスクが高まり糖尿病や高血圧などの小児の生活習慣病の誘因になることや、朝ごはんが食べられない、運動をしたがらないなどの問題の要因となるなど、さまざまな発育・発達上の問題と結び付くからである。
 本研究は、子どもの睡眠、なかでも研究対象として困難な時期である乳児期に焦点をあてたものであり貴重な資料と思われるので以下に概要を紹介する。

【目的】

 本研究は、3歳児では、夜の入眠時刻が遅いほど夜間睡眠時間が短いことが報告されているが、乳児の就寝時間の遅れによる睡眠時間への影響は検討されていないことから、いつからこの影響があるのかを明らかにすることを目的として行われた。

【方法】

 2003~2008年に、静岡県、関東地方、大阪府在住の正期産乳児233名。養育者が、家庭でday-by-day plot法により1週間から最高6か月間、睡眠表を記録した。

【分析方法】

 出生後は夜間睡眠が断続的であるため、後に主要な睡眠となると考えられる最長睡眠に着目した。なお、47名の乳児にアクティグラフ(米国A.M.I社の腕時計式マイクロミニR型行動計)を並行して使用し、夜間睡眠時間は睡眠表とアクティグラフとの有意な正の相関を認め、睡眠記録の妥当性が確認された。
 対象児別に、最長睡眠時間とその入眠時刻の月平均を算出後、これらの相関係数を修正年齢(在胎週数が37~42週の幅があったため)ごとに解析した。

【結果】

  1. 入眠時刻と最長睡眠時間は、修正1か月までは相関はないが、修正2か月から有意な負の相関がみられた(Spearman’s r=-.035, n=131, p<0.0001)。
  2. 出生予定日から満2か月以降、すなわち乳児の睡眠覚醒の1日のリズムができる頃から、20時頃に早寝させるほど夜間睡眠時間が長くなることが明らかにされた。

【考察】

 修正2か月以降(予定日から満2か月以降)最長睡眠時間とその入眠時刻の有意な負の相関がみられたことから、乳児の睡眠覚醒リズムの24時間周期ができる2か月頃から、20時頃に早寝させることにより長い夜間睡眠時間をもたらすことが大切である。そのためには、養育している産後の母親自身も睡眠や食事等、規則的な生活をすることが大切であると考えられる。また、母乳は自立授乳で差し支えないが、離乳食やおやつは時刻を決めて与えることが重要な育児法の一つである。