ブックガイド『ネットに奪われる子どもたち』

更新日: 2015年1月1日

編著 古野陽一・山田眞理子著、清川輝基編著
出版 少年写真新聞社、2014年
定価 ¥1,728(税込)
ISBN 978-4-87981-487-6

【目次】
序章
第1章 スマホ パンデミック
第2章 スマホ社会で深刻化するメディア依存とネット依存
第3章 広がるスマホ子育て
第4章 スマホ社会の子どもたち~拡大するリスクの中で~
第5章 ネット中毒対策先進国「韓国」に学ぶ
第6章 社会がネットに奪われる前に~ネット社会とどう向き合うか~
第7章 家庭で取り組むメディア依存対策
第8章 学校・地域ぐるみの制度づくりを
終章

本書は、ネット社会やスマホの爆発的な普及が、子育てのあり方や子どもの発達環境にいかに重大な影響を及ぼしているか、実際に起こっている多くの恐ろしいトラブルや子どもたちの日常生活に起こっている現実の問題を教えてくれます。そして、子どもや若者たちがネット依存やネット社会のトラブルに巻き込まれるのを未然に防ぐために家庭や社会で何ができるのか、先駆的に取り組んでいる事例の紹介とともに対策についての提案がなされています。
私たち大人にとっても、もはやメディアやネットを切り離すことはできなくなっていますが、子どもたちは、私たちが子ども時代に経験しなかったことをまさに今、経験しながら成長・発達をしていることを真剣に考える必要があると思います。
メディア・リテラシ―やネット・リテラシーの必要性や重要性が高まっていると言われますが、急速に進化していくメディアやネットについての教育をどのように行えばよいのか、必要性を感じながらもその手段や方法がわからないという現実があるのではないでしょうか。
第5章「ネット中毒対策先進国「韓国」に学ぶ」には、著者たちのNPO法人子どもとメディアが、韓国の対策を学ぶため、2010年から5回にわたって調査や視察を実施した報告があります。それらの視察を経て2012年には、韓国政府のネット依存対策の責任者など、関係者を招聘してわが国初のネット依存に関する国際フォーラム「メディア中毒からの脱出」が開催されました。そのフォーラムがきっかけとなり、厚生労働省と文部科学省に対して提言を行い、それを受けて両省からヒアリングが行われた、というような国レベルの動きにつながった経緯が書かれてあります。このように、日本においてはようやくネット依存対策の緒についた状況にあることがわかります。

本書の特徴としては、単にネット社会の問題点を挙げるだけではなく、スマホやネット依存がなぜ子どもの生活や発達によくないのかその理由を脳科学の理論や諸調査などのデータに基づいて説明されていること、さらに家庭や社会ですぐにでもできる対策についての紹介がなされていることです。子どもたちへのスマホやネットについての教育を行うためには、家庭だけでなく、学校や地域も一緒に取り組まなければ成果が得られないことがわかります。家庭や学校で取り組んでいる例が、かなり具体的に示されているので、すぐにでも実践することができるのではないかと思います。
まずは、現実に起こっていることを知ること、そして少しでも早くメディア・リテラシーやネット・リテラシー教育を始める必要があります。そのためにできるだけ多くの人に読んでいただきたい本であると思い、ここにご紹介しました。