ブックガイド『知的障害・発達障害のある子どもの面接ハンドブック』

更新日: 2014年12月17日

編著 著者:アン-クリスティン・セーデルボリほか著、リンデル佐藤良子訳、仲真紀子、山本恒雄監訳
出版 明石書店、2014年
定価 2000円+税
ISBN 9784750340630

とうとう出てきたかという本である。
本書は、スウェーデンのアン-クリスティン・セーデルボリ教授、クラーラ・ヘルネル・グンペルト医師、グンヴォル・ラーション・アバド准教授により書かれた『知的障害・発達障害のある子どもの面接ハンドブック』を翻訳したものである。テーマは、被害が疑われる子ども、特に知的障害をもつ子どもからいかに精度の高い情報や報告を得るかということであり、第一章の導入後、第二章では知的障害をもつ子どもの特性、第三章では、障害児を含む子どもに面接する際の注意点・留意点が示されている。
ところどころに事例が呈示されているため、実践に役立つであろうと考えられる。

また、犯罪・虐待被害が疑われる子どもの支援とその研究に携わるスウェーデンの心理学、精神医学の3人の専門家により書かれた本を、日本のフォレンジックインタビュー(被害を疑われている子どもへの客観的聴取方法の一つ)の開発の第一人者である仲真紀子氏、福祉領域で虐待対応・介入の草分け的存在である山本恒雄氏の監訳によるもので、わが国でも使いやすいようにやさしくまとめられている。

原書は文化、法体制が違う国で書かれているが、監訳者がその点を考慮して、編著者と直接やり取りを行い、日本の現状にもひきつけて翻訳されているので、日本で取り組んでいる、被害を疑われている子どもへのインタビューにも大変役立つ内容が含まれている。

監訳者も書いているように、1980年代初頭から、欧米を中心に子どもの人権への意識が高まり、子どもに対する虐待・ネグレクトの問題が取り上げられるようになった。子どもへの不適切な面接が原因で、多くの子どもや人々が傷つき、苦しむ結果となったこの時期から、子どもへの負荷をより少なく、そして、信憑性・精度の高いインタビュー方法の開発が始まり、研修も行われ、現在に至っている。研究者・実践者は、より良いインタビューのありかたを目指して日々研鑽を積み重ねている。

インタビューに直接携わらない人にも、読みやすく簡潔にまとまっているため、ぜひご一読いただきたいお薦めの本である。