ブックガイド『学校現場で役立つ「問題解決型ケース会議」活用ハンドブック-チームで子どもの問題に取り組むために』

更新日: 2014年6月19日

編著 馬場幸子編著
出版 明石出版、2013.12
定価 本体2,200円+税
ISBN 9784750339368

子どもがその子らしく成長していく過程にはたくさんの時間と体験、そして多くの人の支えが不可欠ある。学校生活のなかで子どもが学習面や生活面で困難を抱えた場合、校内外の専門家や関係機関の代表がチームでその問題に対応する。その際に開かれる会議(ケース会議・個別支援会議)はそれぞれの立場や視点の違いから問題の焦点がずれてしまい、何を目的として話し合っているのか、どこを目指しているのかが曖昧になってしまうことが往々にして起こりがちである。

本書で紹介されている「問題解決型ケース会議(Problem-solving meetings)」は全米各地の学校で行われている個別支援会議の一形態である。このモデルは、アセスメントから目標設定、支援方法の決定、支援実施、評価にいたる一連の過程を示し、会議参加者各々がどのように問題に取り組めばよいのかを示唆しているプログラムである。また、プログラムの効果的な活用方法を、ステップを提示しながらわかりやすく伝えている。なお、実際に現場で用いられているさまざまな様式(アセスメントシート、決定事項まとめ票、ふりかえりシート等)も資料として添付されており、実践にすぐ役立てることができる。
会議では教員、管理職、SC(スクールカウンセラー)、SSWr(スクールソーシャルワーカー)、地域の関係機関の代表などから構成され、支援を必要としている子どもや保護者も参加することが理想とされている。選出されたファシリテーターが司会を行ない、出された意見を書記が板書し、どのような話し合いが行われているのかを整理していく。 問題となっていることを具体的な子どもの姿や事例から明確にし(ステップ1)、本人の「強み」つまり、良いところや得意なこと、好きなことなど肯定的なところを話し合い(ステップ2)、支援の支えとして目標を設定する(ステップ3)。対象となる子どもの生育環境等を含む背景要因を検討し(ステップ4)、支援方法について案を出し合う(ステップ5)。
ステップ5で提案された支援・介入方法のうち効果が高く実現可能なものを選び(ステップ6)、具体的な支援計画を考え、評価方法や時期も決める(ステップ7)。決定した支援計画に基づいて支援を実行し(ステップ8)、支援の結果を報告し、振り返る(ステップ9)。

この問題解決型ケース会議を行うに際し、以下の三つの約束が会議参加者に課せられる。
(1)会議参加者は必ず発言をする
(2)他の人の意見を否定したり責めたりしない
(3)1つのステップごとに合意形成を果たしてから次のステップへ進む

上記の約束を守ることで、参加者各々がそれぞれの立場で自由に発言をし、互いの意見を尊重し合える建設的で前向きな会議となる。感情的なところにとどまらず、起きている事象を具体的かつ前向きにとらえそれに対して無理なくどう対応できるのかを検証し、現実的で実行可能な支援を行う。このような会議をもつことにより、困難に感じられる事例であっても担任は「やれるかもしれない」「やってみよう」という前向きな気持ちをもって日々の実践に向かえるだろう。

本書は学校でのケース会議(個別支援会議)にかかわる教員、SC(スクールカウンセラー)、SSWr(スクールソーシャルワーカー)などを対象にして書かれているが、介護施設や福祉作業所はもちろん、一般企業においても広く活用できる考え方であり方法でもあるといえる。学校関係者のみならず、会議の在り方についておおいに参考になる一冊である。

1章:問題解決型ケース会議への招待
2章:問題解決型ケース会議におけるステップごとのポイント
3章:事例で考える問題解決型ケース会議
4章:問題解決型ケース会議 導入から展開への経緯
5章:問題解決型ケース会議の学術的解説
資料