ブックガイド『子ども・家庭・地域が変わる家庭訪問型子育て支援ハンドブック』

更新日: 2014年3月7日

編著 家庭訪問型子育て支援研究会編、西郷泰之、森山千賀子、野田敦史監修
出版 明石書店、2013
定価 本体2,400円+税
ISBN 9784750339344

子育て支援活動は様々な内容で充実しつつあるが、地域における直接的な支援活動として、子育て広場やサロンなど利用者が出向く場所を提供するスタイルと、支援者が家庭に出向くアウトリーチ・スタイルがある。本書は、後者である訪問による支援に従事するスタッフのための入門書であり、実践書である。

「はじめに」では、本書が刊行に至るまでの経緯が紹介されている。2010年に全国各地の家庭訪問型子育て支援事業の草分け的団体の代表者が集まり、交流、討議を行い手引書が作成された。その翌年には、23団体に出向いて行った実践例のヒアリングを経て報告書が出され、その後本書の刊行に至っている。実践と知識の周到な積み重ねの上に作られたハンドブックであることが分かる。

全体構成は、1~4章の4つの柱から成っており、そのどこから読んでもよいというガイドが特徴的である。目次に記された章の見出しとは表現が異なる4点の柱があげられているので紹介しよう。

1)家庭訪問型子育て支援の概要(第1章)
2)すべての訪問支援に共通する基本の実践方法(第2章)
3)事業種類別ごとの実践方法(第3章)
4)訪問支援のコーディネーターが留意すること(第4章)

家庭を訪問する支援者は2)から、更に事業別に詳しく知りたい場合は続いて3)へ、事業をコーディネートする側は4)から読むということである。全体を知るには1)を読む必要があるが、読み手によって調整が利く、使い勝手がよい構成といえよう。

筆者は第1章から通して読み進めたので、概観すると、第1章は、訪問支援の種類やわが国の現状と課題が非常にコンパクトにまとめてあった。第2章は、実践において役立つポイントを細かく説明されており、本書で最もボリュームを使っている正にメインといえる章である。訪問前の準備や心構えから始まり、実践では様々な場面を想定して問題回避と解決の方法が示されている。支援以前の一般常識ともいえる他人の家を訪問する際の礼儀作法などは、昨今必要不可欠と思われた。実践上で困った場合は、所属団体に相談するということが一つのルールでありポイントである。第3章は、各論であり、事業の種類によって専門的な知識を得られるようになっている。第4章は、事業の質の向上を目指した様々な取り組みをあげており、評価や支援者の育成、リスクマネジメントなどを言及している。全体に、読みやすいハンドブックとなっている。

さらに本書の売りは、随所に配されたイラストと漫画であろう。しかしながら、筆者の個人的好みからいうと、子どもじみた観を否めず、せっかくの内容から集中力を減じるようになってしまった。
支援活動は、常に緊張を伴うものであり、例えば救急車を呼ぶ場面の説明などに親しみ易さが必要かどうか、考え込んでしまった。世代ギャップも想像したが、支援者はある程度子育ての経験がある世代が主であろう。それとも学生ボランティアを想定しているのだろうか。本書の被支援者への視点、支援者との立場が成熟した大人と大人の関係を目指しているかについて、やや疑問となってしまったのである。良書ゆえに、より多くの心ある読者の手に取ってもらえるために、少々苦言を呈した次第である。

以下、目次より抜粋を紹介する。

はじめに
本書の構成と使い方
第1章:新しい支援・家庭訪問型子育て支援(ホーム・ビジティング)の出現
1 期待が高まる「家庭訪問」という新しい支援
2 家庭訪問型子育て支援(ホーム・ビジティング)の歴史
3 家庭訪問もいろいろ
4 より積極的な子育て支援への取り組みを

第2章:家庭訪問型子育て支援の実際
第1節:家庭訪問を行うにあたっての基本姿勢
第2節:家庭訪問場面で行うこと

第3章:各家庭訪問型子育て支援事業の特徴とその内容
第1節:各家庭訪問型支援事業の全体像
第2節:周産期の訪問事業
第3節:訪問保育サービス–在宅で行われる保育としては
第4節:母子家庭等日常生活支援事業
第5節:養育支援訪問事業
第6節:ホームスタート

第4章:家庭訪問型子育て支援の質の向上を目指して
1 ソーシャルワークとしての家庭訪問支援であることの理解
2 所属団体のバックアップと育成システムの理解