ブックガイド『子ども計測ハンドブック』

更新日: 2014年2月4日

編著 持丸正明、山中龍宏、西田佳史、河内まき子編
出版 朝倉書店、2013年
定価 14,700円(税込)
ISBN 978-4-254-20144-4

2013年6月に朝倉書店から刊行されたB5版のペーパーバックであるが、448ページあり、定価14,700円(税込)で、内容は充実している。
この本は、子どもの人間特性を計測する技術やその計測データ、応用事例などをまとめたもので、画期的なデータ集である。

この本を出版するに至った経緯は、「序」に説明がある。
少子高齢化時代に、子どもを安全かつ健全に育成するための研究が盛んになり、子どものためのものづくりにおいても、子どもの人間特性に対応した計測方法や得られたデータを体系的にまとめて提供することが求められてきた。
2010年度から経済産業省主導で「キッズデザイン製品開発支援事業」が推進され、国際的にも、2012年にはISO(国際標準化機構)で策定されているGuide50(子どもの安全に関するガイド)の改訂作業が始まった。
しかし、子どもの人間特性計測方法やその特性データは、個別研究がなされているが、それらを体系的にまとめた書籍やデータ集が整備されていなかった。
そこで、子どもの人間特性の計測技術、データ、応用事例を網羅し、子どもの人間特性を科学的・体系的に扱うハンドブックとして本書が企画されたわけである。

本文は7つの章からなる。
<目次>
第1章:子ども人間工学概論
第2章:人間機能計測編
第3章:人間機能データ編
第4章:人体モデル編
第5章:子どもの事故・傷害デ一タ編
第6章:子どもに関する規格編
第7章:応用編

各章は、説明文と図表、写真、イラストで構成されている。
内容は文字どおり「網羅的」で、例えば「第2章:人間機能計測編」では、
◇寸法・形態・構造
◇運動・発揮力(歩行計測、基礎運動能力)
◇感覚・生理(視覚、聴覚、温熱感覚、嗅覚、味覚)
◇認知・行動特性
について、測定機器や測定方法を写真やイラストで解説している。
「第3章:人間機能データ編」では、具体的な計測結果が収録されている。人体の寸法をここまで詳しく計測してあるのかと驚くほどである。
日本人だけでなく、外国人のデータも収録されており、原典のウェブサイト上のアドレスも添えてある(中には既に確認できないものもあるが、存在がわかれば探すための手がかりとなるであろう)。
第4章では、テストダミーやマネキンなど、子どものサイズと特性を反映した人体モデルが紹介されている。
第5章では、子どもの事故・傷害デ一タを収集して分析し、事故や傷害の予防のために活用するためのシステムの必要性について、具体例を挙げて解説されている。
第6章は、子どもに関する国内と国際的な規格の解説である。
第7章では、応用として、子どものための製品と、子育て環境の安全対策等、事例の紹介がなされている。例えば、製品については、ブランコやすべり台、ベビーカー、プール、衣類や靴、チャイルドシートなどである。

子どもを対象とする研究や実践に関わる人々の強力な味方となる書籍である。