ブックガイド「子育て支援と心理臨床」vol.7特集:児童相談所はいま

更新日: 2014年1月21日

編著 子育て支援合同委員会 監
『子育て支援と心理臨床』編集委員会 編
出版 福村出版、2013、06
定価 本体1,700円+税
ISBN 9784571245374

子どもの相談機関であったはずの「児童相談所」の福祉警察化が進んでいる。このような現状の中、主に子どもの支援にかかわる心理職の目から見た、児童相談所の「いま」について、その中で活動するスタッフの声と思いを集めた特集である。

虐待介入機関として福祉警察化が進んでいる児童相談所に、「子育て支援と心理臨床」の視点から、特集責任編集者の髙橋幸市氏は「心理職が子どもと家族の支援において変わらず有用な存在であるための手がかりや指針について」という視点での執筆依頼を行ったという。児童相談所の仕事は子どもの安全・安心な生活を守るための機関であり、その支援という、根本を考えるとき、子どものアセスメントをする心理司の役割は大きい。

●特集
総論 虐待相談に特化した児童相談所の今/御代田久実子
児童相談所における心理アセスメント/小川素子
家族再統合の現状と課題/木全繁
市町村との機能連携/安部計彦
社会的養護と児童相談所/宮井研治
司法面接と心理支援/阿部弘美
●小特集
社会的養護における家族から分かれた子どものケアと育ち-関係性のアセスメントとは
/柏女霊峰・中垣真通・山喜高秀・青木紀久代・繁多進
●子育て支援最前線/尾木直樹氏に聞く
●特別企画
望まない妊娠-母子支援/才村純・佐藤拓代・川上房世

特集の中で、北海道中央児童相談所の阿部弘美氏の「司法面接と心理支援」では、特に「司法面接」という、従来の査定(心理検査等)と支援とは異なる手法を取り入れつつある相談所の現状を伝えている。ここでいう「司法面接」とは、「Forensic Interview」の訳で、「被害(事実)確認面接」と呼ばれることが多い。これは、子どもから事実を聞きとることを目的として高度に構造化された面接のことである。この手法は一定のトレーニングをを受けることが必要とされている。筆者は心理司として、この面接手法を学び、必要性を感じつつも、従来の面接技法とは根本的な違いと、難しさも感じているという。

子どもからの意実の聞き取り、特に犯罪性の強い性的虐待において、被害事実を明らかにし、子どもを再被害から守るためにも注目されるべき技術である。様々な役割が求められる現在の児童相談所が持つ、一つの専門性の高い大切なスキルとして、今後児童相談所に標準装備されていくことが望まれる手法である。

※『保育界』第473号(2014.1)からの転載