ブックガイド『EBMの手法による周産期ドメスティック・バイオレンスの支援ガイドライン2004年版』

更新日: 2014年1月22日

編著 聖路加看護大学 女性を中心にしたケア研究班編
出版 金原出版、2004
定価 2,310円(本体2,200円+税)
ISBN 978-4-307-70180-8

この本は、ドメスティックバイオレンスの早期発見、保護、回復のために作られた、EBM手法によるわが国初めての支援ガイドラインです。本書の特徴は、エビデンスに基づいた科学の技法により価値判断がなされていることです。2,392件もの文献を集め、吟味し、エビデンスを確認し、推奨内容を決定するという十分な検討がなされて作成に至っています。特にこのガイドラインは、周産期に関わる全ての施設で、周産期の女性を対象としている現場において、DV被害者の発見と女性の安全確保が適切に行われることを目指して作成されたものなのです。

日本においては、2001年に「配偶者からの暴力の防止および被害者の保護に関する法律(DV法)」が制定されました。法律の整備によりDVの発見や被害女性の保護が進むと思いきや、被害女性の割合は減少していない実態が続いています。海外では、DVを公衆衛生の問題として、医療現場におけて予防と早期発見を目指した取り組みが展開されているようですが、日本ではまだまだ対策や体制が追いついていないと言わざるをえません。 実際、DVを受けている妊産婦と接する機会は年々増加してきていることを現場で感じています。このような事例の問題解決は、具体的な指針がない中、個々の事例に対応するという半ば対症療法的な対応に終わっていることもあるのです。
周産期医療現場において潜在しているDV被害者を発見する事はとても重要です。それはDVを受けた母親が、時にその暴力を児に向けて虐待をしてしまう事例が少なくないからです。生まれてくる児の生命にも関わる問題にもなりかねません。

このガイドラインには資料としてDVスクリーニング尺度が掲載されています。これは臨床で応用できるよい資料でもあります。また具体的な社会資源もリストアップされており実用書としても活用できそうです。このガイドラインを実施する事で、被害者の発見と保護、そして適切な支援機関と連携をとり、地域で被害女性を救済することにつながるだろうと思います。
周産期に関わる助産師の必読書と言えるでしょう。