ブックガイド『最新保育保健の基礎知識 第8版改訂』

更新日: 2013年8月20日

編著 巷野悟郎監修、日本保育園保健協議会編
出版 日本小児医事出版社/2013.06
定価 2940円(税込)
ISBN 978-4-88924-224-9

2000年刊行の『最新保育保健の基礎知識』の第8版改訂(2013年6月)です。
B5判で338ページのペーパーバック版(2色刷)ですが、保育に関係のある分野で必要な資料がすべて網羅されているのではないかと思われるほど、内容が充実しています。

日本保育園保健協議会の会員は、保育園の園長・保育士・保健師・看護師・栄養士・園医・行政担当者などで、保育園に通う子どもの健康に関係のある職種がほとんど参加されているようです。
本書をまとめるにあたって、会員が日々遭遇する問題点を集めて整理したということで、まさに現場で必要な基礎知識の集大成となっています。

保育園で必要な保健の知識は、何十年経っても変わらない大原則がある一方、近年の予防接種制度のように、1年の間に内容が次々と変わるものもあり、必要な情報を得るよう、常に心がける必要があります。

日々の保育に追われる現場としては、「1冊あればたいていのことがわかる本があればいいのだが…」という願いがあるでしょう。
それを実現したのが本書で、豊富な内容を盛り込み、しかもできるだけ頁数を抑えようとしている様子がみえます。
保育園で必要に応じて使われる一方、保育士養成課程で「子どもの保健」の教科書としても使われているようです。

このようなタイプの本において、時々刻々新しい情報を取り入れるためには、改版の頻度をどうするかという課題があります。
300ページを超える本が、出版後12年間で第8版まで出ているのですから、かなり丁寧に対応されているということがわかります。

巻頭に、集団保育の現場における事故の予防、感染症の予防、病気や異常の早期発見が、保育保健の要点であると解説があります。
本文は12の章からなっています。

<目次>
保育のなかの保健
第1章 成長
第2章 発達
第3章 生活と保健
           栄養、排泄、睡眠、衣服、健康増進、遊び(保育衛生上の留意点)、外出、育児
           用品、衛生・環境、日常の気になる行動、病的な要素が含まれることがある行動
第4章 子どもと虐待
第5章 応急手当
第6章 病気と異常
           主な症状と対応、主な病気と対応
第7章 くすり
第8章 感染症
第9章 予防接種
第10章 事故と安全
第11章 地域と家族
第12章 温かい心を育む
資料

第1章の前には、「保育のなかの保健」という序章があり、“基礎知識の基礎”にあたることの解説になっています。
「保育所保育指針」や「保育所における感染症対策ガイドライン」など、厚生労働省が出している指針やガイドラインなどの改定について、内容を把握しておくこと、母子健康手帳の活用や保育園における健康診断など、基礎的なことがひととおりわかります。

各章は、説明文と図表、イラストで構成されています。
本文の中では、「日常の気になる行動」、「病的な要素が含まれることがある行動」など、重要な事項について的確な解説があります。
また、コラムやメモという囲み記事で、要点を知ることができるようになっています。

本文の後に添えられている資料は、44項目あり、充実しています。
乳幼児の身体発育曲線、デンバーや遠城寺式のような発達検査表、育児粉乳の成分一覧表、アレルギー疾患の生活管理指導表、主な感染症の一覧表、おしゃぶりや指しゃぶりについての見解など、きめ細かく資料が集められています。

この本1冊で、乳幼児の保健について学ぶことができ、さまざまな場面の保育に活用することができ、保護者からの疑問に応えたり、配布資料を作成したり、保育園の業務に必要な書類の雛型を得ることができるでしょう。

必要なときに必要なページを参照することもできますが、まず、ひととおり目を通すことが大切です。読みごたえのある本です。