ブックガイド『医療現場の保育士と障がい児者の生活支援』

更新日: 2013年8月14日

監修 柏女霊峰
編著 独立行政法人国立病院機構全国保育士協議会倫理綱領ガイドブック改訂版作成委員会
出版 生活書院/2013.05
定価 1,050円(税込)
ISBN 4-86500-011-5

保育士が働く現場のひとつに独立行政法人国立病院機構があり、勤務する保育士は幅広く活躍しています。国立病院機構の保育士が保育所保育士と大きく異なるのは対象が子どもと保護者にとどまらず障がいや疾病を持った人たちへの援助が含まれることです。 現在、全国保育士会の倫理綱領をもとに国立病院機構にあうように現場から保育士倫理綱領の解説文が作成されています。
保育所倫理綱領を大切にして子どもの最善の利益や発達の保障、利用者の尊厳を守るということで倫理綱領の各条文に独自の解説文を付け時代の変化に合わせ現場の状況にあわせて改訂された書籍のご紹介です。

本書の構成では、まず前文に「すべての子どもは、豊かな愛情の中で心身ともに健やかに育てられ、自ら伸びていく無限の可能性を持っています。私たちは、子どもが現在(いま)を幸せに生活し、未来(あす)を生きる力を育てる保育の仕事に誇りと責任をもって、自らの人間性と専門職の向上に努め、一人ひとりの子どもを心から尊重し、次の事を行います。
・私たちは、子どもの育ちを支えます。
・私たちは、保護者の子育てを支えます。
・私たちは、子どもと子育てにやさしい社会をつくります。」
とあり、これは全国保育士会が採択した「倫理綱領」です。よって、国立病院の保育士も、これに準じた行動規範を持たなくてはならないということで解説が続きます。
また、障害者基本法・第1章総則第3条、障害者総合支援法第1条の2に明記されているその基本理念に基づき、次のことを行うよう努めていきます、ということで
・私たちは、子どもや障害・疾病を持った方の育ちや生活を支えます。
・私たちは、保護者の子育てや障害者が地域と共に生きる力を支えます。
・私たちは、子どもと子育てにやさしい社会、障害・疾病を持った方々にやさしい社会を作ります。とつづきます。

次に1.子どもの最善の利益の尊重の項は、
「私たちは、一人ひとりの子どもの最善の利益を第一に考え、保育を通してその福祉を積極的に増進するよう努めます。」となり、各条文に補足された「解説」には、事例があげられています。今回の改訂版は現場での実践事例が盛り込まれとても解りやすくなっているのが大きな特徴だと思います。
事例1は「卒業後在宅生活を送る予定から継続入院となったAさんへの支援」
~その人自身が生き生きと主体性を持って生活ができるよう、本人の立場に立って支援していく~
事例2は「NICUに入院中の子どもとご家族に対しての保育士の支援
~将来的、長期的視点から子どもにとって最大限の権利が保障されること~
事例3は「車いすの作成を通して家族関係を深めた支援」
~将来的、長期的視点から子どもにとって最大限の権利が保障されること~
事例4は「入院した子どもが主体的に治療に参加していくための保育士の支援」
~利用者を正しく理解し、支援していくことが利用者を尊重し、その人としての尊厳を守ること~
ということでそれぞれに事例があり、その【対応】と【対応のポイント】が分かりやすく説明されています。また、2項以降は次のようになります。
2.子どもの発達保障
3.保護者との協力
4.プライバシーの保護
5.チームワークと自己評価
6.利用者の代弁
7.地域の子育て支援
8.専門職としての責務 等です。

監修の柏女霊峰氏が“全国保育士協議会倫理要綱ガイドブック(改訂版)の活用を願う”のなかで「本書が保育所や児童福祉施設、病院などで働く保育士や医師、看護師、社会福祉士など子ども、障害児者の保育、生活を支援する専門職や利用者、これから保育士や療養援助職などをめざす人たちに幅広く読まれることにより、子どもの育ち、子育てが保障され、子どもと子育て、いのちを育む営み、障害児者の尊厳と自己実現が大切にされる社会づくりが進んでいくことを心から願っています。」と書かれているとおり、特に保育士のみなさんが一度手に取り理念に基づいた業務がなされているか振り返りのために活用されると良いかと思います。